ローカルAI検索の情報源とは——196万件の引用調査と高砂の検索で当社が見たもの
最大の情報源はGoogleビジネスプロフィールで、全引用の28.63%でした。
ChatGPTでは、回答の80%にYelpが情報源として出ていました。
引用されたドメインを種類で見ると、約93%は個別の会社のサイトでした。
調査の対象は米国・英国・オーストラリアなので、日本の店舗や企業が今日できる確認も載せています。
目次
7月、プライベートモードで「高砂 ホームページ制作」と検索してみました。いちばん上のAIによる概要が地元の制作会社を名前つきで並べていて、当社はその中にいませんでした。
AIは、地域の店や会社をすすめるとき、何を見ているんだろう。ずっと気になっていたところに、8月、196万件の引用を数えた海外の調査が出ました。
7月の記事「GoogleのAIモード対策とは」で「AIは第三者の場所で裏を取っているのかもしれない」と書きました。それを確かめる材料になりそうだったので、日本の店舗や企業の実務に引きつけて読んでみます。
196万件の引用を数えた調査
出どころは、英国のローカルSEO会社BrightLocalが2026年8月26日に公開した調査です。米国・英国・オーストラリアの1,355の事業拠点について、5種類の質問を9つの地点から投げて、Google AI Overviews(AIによる概要)・GoogleのAIモード・ChatGPTの答えを集めています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| チェック回数 | 60,970回 |
| 集まった引用 | 1,967,762件 |
| 引用元ドメイン | 116,670 |
| 対象 | 米・英・豪の1,355拠点 |
対象の業種には偏りがあります。飲食店・バー・カフェが20.09%、一般サービスが20.93%で、この2つだけで約4割。「全業種共通の順位表」というより、AIがローカルの情報をどう組み合わせているかを見る、大きな観測データとして読むのがよさそうです。
最大の情報源はGoogleビジネスプロフィール
全体を合算すると、google.com(実質はGoogleビジネスプロフィール、以下GBP)の引用が56万3,272件で、全引用の28.63%。対象拠点の94.17%で引用されていました。
| AIサービス | GBPの引用 | 次に多い情報源 |
|---|---|---|
| Google AI Overviews | 108,018件 | Yelp 12,194件 |
| Google AIモード | 455,123件 | Yelp 76,124件 |
| ChatGPT | 上位10に入らず | Yelp 99,281件 |
GoogleのAIで店を見つけてもらう土台がGBPにあるのは、この数字を見るかぎり動かしにくいと思います。オーナー確認、カテゴリ、住所またはサービス提供地域、営業時間、サイトのURL。ここが正確かどうかが出発点です。
1つ気をつけたいこともあります。Googleの公式ガイドラインは、実際に使っている名称を正確に載せることを求めています。検索されたい言葉を店名に詰め込むやり方は、対策ではなくポリシー違反で、プロフィールが止められるおそれがあります。
ChatGPTはYelpを見ていた
Yelpは全体で18万7,599件、全引用の9.53%でした。ChatGPTに限ると9万9,281件で、調査対象になった回答の80%に情報源として出てきます。背景には、2026年7月に報じられたYelpとOpenAIの提携があります。レビューや店舗情報が、ChatGPTのローカル検索の答えに使われるようになりました。
これは少し意外でした。AIの検索は公開されているWebを読みに行くだけでなく、提携先のデータベースから情報を受け取る道も持っている。どのAIに聞くかで、見られている場所が変わってくるということです。
ただ、この結果を「日本でもYelpをやろう」と読むのは違うと思います。調査は米・英・豪の話で、日本では国内の予約サイトや口コミ媒体、業界のポータルが同じ役割をしている可能性が高いからです。海外の順位表を持ち込むより、自分の業種と地域で、AIが実際に何を引用しているかを確かめるほうが役に立つ気がします。
引用されたドメインの93%は個別企業のサイト
大手の媒体が引用数の上位を占める一方で、引用された11万6,670ドメインのうち約93%は、個々の会社が運営するサイトでした。
この数字は「全引用の93%が企業サイト」という意味ではなく、引用元のドメインを種類で数えると、その大半が個別の企業のサイトだったということです。GBPやYelpは同じドメインが何万回も引用されるので件数で上に来ます。企業のサイトは1件ずつの引用は少なくても、業種や地域をまたいで広く読まれています。
AIにとって自社サイトは、営業時間・サービス内容・料金・対応地域・予約方法を確かめに行く一次情報の1つ、ということです。GBPだけ整えて自社サイトが古いままだと、AIにも利用者にも食い違った情報を渡すことになります。「AIの時代は自社サイトが要らない」という話とは、むしろ逆の結果でした。
業界特化の媒体とSNSも確認先になっている
調査では、AIが情報源にしたディレクトリ(店舗一覧やポータルのたぐい)が415件見つかっています。大手だけではありません。弁護士の分野ではJustiaやAvvo、歯科ではZocdoc、飲食ではOpenTableやUber Eatsのような、その業界の利用者が比べたり予約したりするときに使う媒体が並んでいました。
SNSも無視できない量です。Instagramが3万7,520件、Redditが3万5,144件、YouTubeが7,479件。Facebookはビジネスページとして4万3,876件。会社が自分で書いた情報だけでなく、利用者の体験や地域での話題も、確かめる材料になっているようです。
だからといって、掲示板に自作自演の書き込みをして回るのは筋が悪いと思います。Googleは、不自然な言及の量産はスパム対策の対象になりうると書いています。業界の媒体にきちんと載ること、人に話したくなる体験を作ること。地味ですが、そちらが本筋です。
当社が高砂の検索で見たものと重なる
この調査を読んでいて思い出したのが、7月に見た検索画面です。プライベートモードで「高砂 ホームページ制作」を検索したら、最上部のAIによる概要が地元の制作会社を名前つきで並べていて、当社はその中にいませんでした。詳しくは「GoogleのAIモード対策とは」に書いています。
あのとき、AIによる概要が根拠にしていたのは、各社の公式サイトだけではありませんでした。「高砂市の制作会社一覧」のようなまとめ記事やポータルも、引用元に並んでいたんです。1,355拠点・196万件の集計で出てきた構図を、僕は高砂の検索1回分の大きさで先に見ていたことになります。
10月には、同じ高砂の質問をChatGPTの地図とGoogleで聞き直してみました。ChatGPTでは地図にも文章の答えにも当社が出て、GoogleのAIによる概要の文章には、やはり出てきませんでした。Googleの出典には、制作会社をまとめて紹介する比較サイトが入っていました。この話は「ChatGPT Mapsとは」に書いています。
当社が運営している「きゃくくる」は、店舗の情報を100以上の媒体にまとめて配信してそろえるサービスで、まさに「第三者の場所で裏が取れる状態」を作る側にいます。ただ、媒体間の情報がそろっていることがAIの引用にどれだけ効くかは、Googleが保証していることではなく、業界の仮説です。今回の調査は、AIが実際に幅広い場所を引用しているという観測で、その仮説の土台を補強してくれました。でも「引用された媒体に載れば推薦される」という因果まで示したわけではありません。ここは分けて持っておきたいところです。
自分の店で今日確かめられること
どれも無料で、今日できます。「GoogleのAIモード対策とは」で書いた確認の続きとして、今回の調査を踏まえて足すなら、このあたりです。
- 自社サイト・GBP・よく使われる媒体で、基本の情報を照らし合わせる——店名・住所・営業時間・サービス内容。表記の揺れより、事実そのものの食い違いのほうが深刻です
- GBPのオーナー確認と、カテゴリ・営業時間を見直す——臨時休業や祝日の営業時間を放ったままにしていないかも
- 自社サイトの店舗のページに、料金の目安・対応地域・予約の方法まで書く——AIが確かめに来る一次情報として
- 自分の業種でAIが引用している国内の媒体を探す——「地域名+業種」で聞いて、答えの引用元を10件メモします
- 同じ質問を月に1回くり返して記録する——1回の結果で判断しないために。スクリーンショットが基準になります
個人的には、4つめがこの調査のいちばんの使いどころだと思っています。海外でYelpがいた場所に、自分の業種では何が入るのか。実際にAIに聞いてみると、引用元の並びでだいたい見えてきます。
この調査の読み方
数字を使ったので、限界も並べておきます。対象は米・英・豪で、日本は含まれません。業種の構成に偏りがあります。BrightLocalの自社ツールでの観測で、AIの各社が仕組みを明かしたものでもありません。そして「引用されたこと」と「推薦の原因になっていること」は別です。AIの答えは、場所や時期や聞き方で変わります。
※ 元記事にはYelpの構成比を8.53%とする箇所と9.53%とする表が併存しています。187,599件÷1,967,762件≒9.53%になるため、本稿は表の値を採用しました。
それでも、AIが地域の店の答えを作るときに、GBP・自社サイト・総合媒体・業界の媒体・SNSを横断して見ているらしいことは、何から手をつけるかを考える材料として十分だと思います。どこか1か所を攻略するのではなく、目指すのは、どこから見ても同じ事実が確かめられる状態だと考えています。
よくある質問
Googleビジネスプロフィールだけ整えれば十分ですか?
土台としては最優先ですが、それだけでは足りないと考えています。今回の調査では引用の28.63%がGBPでしたが、引用されたドメインの種類で見ると約93%は個別企業のサイトでした。AIはプロフィールと自社サイト、第三者の媒体を突き合わせて使っているとみられるので、情報が食い違っていないことのほうが大事です。
Yelpは日本の店舗や企業にも重要ですか?
そのままは当てはまらないと思います。今回の調査は米国・英国・オーストラリアが対象で、Yelpが強いのはその市場の話です。日本では国内の予約サイト・口コミ媒体・業界ポータルが同じ役割を担う可能性が高いので、自分の業種と地域でAIが実際に何を引用しているかを確かめるほうが役に立ちます。
何から手をつければいいですか?
まず自社サイト・GBP・主要な媒体で、店名・住所・営業時間・サービス内容が一致しているかの照合をおすすめします。表記の食い違いは今日から直せて、費用もかかりません。そのうえで、AIに「地域名+業種」で聞いた結果をスクショで残しておくと、あとから変化を判断できます。
出典: BrightLocal「Top sources and directories for local AI search」(2026年8月26日)/Axios(2026年7月23日・YelpとOpenAIの提携報道)/Google ビジネスプロフィール公式ガイドライン。数値は2026年8月28日時点で一次資料と照合しています。
自分の店がAIにどう見えているか、一緒に確認しませんか
この記事の確認は、ご自身でも今日できます。やってみて気になる結果が出たら、そこからご相談ください。サイトのAI対応状況の診断は無料です。料金は店舗数や現状によって変わるので、お見積りをお出しします。