本文へスキップ
兵庫のWeb制作・集客パートナー無料相談
AIO 2026.08.28

AIに推薦される店の条件とは——4,776店舗の85.6%が一度も出てこなかった調査を読む

執筆:神吉 修平(ALDONIX 代表/Webディレクション歴100件以上・兵庫県高砂市)

「85.6%がAIに推薦されない 見える会社の条件」——AI推薦の調査を読む記事のイラスト
バリ島の飲食4,776店舗を4つのAIで調べた研究では、85.6%の店が一度も推薦されませんでした。
候補に入ることと関連していたのは、独自のWebサイト、レビューの量、価格情報、第三者のWeb言及の4つです。
星の評価は、候補に入った店どうしの並び順のほうで関連が出ています。
閉店した店が93回推薦されるなど、古い情報が使われ続ける例も報告されています。
日本の店舗や企業が今日できる確認を、5つ挙げました。

目次

  1. 4,776店舗を全部数えた研究
  2. 85.6%は一度も推薦されなかった
  3. 候補に入る条件は「確認できる情報」だった
  4. 星の評価は入口ではなく順位で効く
  5. AIごとに違う答えと残り続ける古い情報
  6. 「見つかりません」と言われた側の実感
  7. 日本の店舗や企業が今日できること
  8. この研究の読み方
  9. よくある質問

7月、ChatGPTに当社のことを聞いたら、公開情報が「見つかりません」と返ってきました。

8月には、バリ島の飲食4,776店舗をChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityで調べた研究が出ています。85.6%の店は、一度もAIのおすすめに出てこなかったそうです。この数字は、当社にとって他人事ではありません。

脅し文句としてではなく、「入口はもともと狭い。では、どうすれば候補に入るのか」を考える材料として読んでみます。

4,776店舗を全部数えた研究

研究の名前は「Invisible to the Machine」。2026年8月7日にarXiv(研究論文の公開サーバー)に投稿された、査読前の研究です。おもしろいのは調べ方で、バリ島のチャングーとウブドという2つのエリアで、営業中のカフェ・レストラン・バーをできるかぎり全部リストにしてから、AIの推薦結果と突き合わせています。

項目内容
対象飲食4,776店舗(バリ島チャングー・ウブド)
AIChatGPT・Claude・Gemini・Perplexity
質問8つの人物像×6つの言い回し×2地域=96種類
回答7日間で2,208件(2週間後に再テストあり)
記録した引用26,993件・986ドメイン

質問は「長期滞在中に仕事ができて、Wi-Fiがあって、うるさすぎないカフェ」のような条件つきで、実際の利用者が聞きそうな形になっています。有名店が出たかどうかではなく、「一度も出てこなかった店」を数えられる作りにしたところが、この研究のいいところだと思います。

85.6%は一度も推薦されなかった

2,208件の回答から出てきた推薦は、のべ9,791件。でも、それがカバーしていたのは4,776店舗のうち689店舗だけでした。残る4,087店舗、85.6%は一度も名前が出ていません。閉店した店や実体のない店のせいでもなく、Googleの評価が50件以上ある店に絞っても、72.6%が一度も出てきませんでした。

理由の1つは、答えの形にあります。AIのおすすめは通常3〜8店ほどの短いリストで、検索結果と違って「2ページ目」がありません。数千の店から数店だけが選ばれる、入口の狭い勝負です。

ただ、一部の人気店が独り占めしていたわけでもありません。いちばん推薦された店でもシェアは1.9%、上位5店を合わせても7.7%。「勝者総取り」ではなく、大多数が入口で外れて、入口を通った店のあいだでは推薦が広く散っている形です。候補に入りさえすれば、無名でも紹介される余地がある、とも読めます。

候補に入る条件は「確認できる情報」だった

では、何が入口を分けたのか。研究が統計的な関連を確認したのは、次の4つです。

要因オッズ比
独自Webサイトがある1.92
レビューの量1.64
価格情報が確認できる1.54
第三者のWeb言及1.44

※ オッズ比は「確率が1.92倍になる」という意味ではなく、観察データ上の関連の強さです。「サイトを作れば必ず推薦される」という因果の証明でもありません。サイトを持つ店は、運営体制や情報発信など別の面でも充実している可能性があります。

4つの中でいちばん強かったのが独自サイトだったことは、覚えておきたいところです。AIにとって自社サイトは、店名・場所・メニュー・価格・予約方法を確かめに行く一次情報です。実際、この研究が記録した2万6,993件の引用を合わせると、いちばん多い情報源は個々の店の公式サイトだったそうです。別の記事「ローカルAI検索の情報源とは」で取り上げた196万件の引用調査で「引用されたドメインの93%は個別企業のサイト」と出たのと、同じ向きの結果です。

星の評価は入口ではなく順位で効く

この研究でいちばん実務に近い発見は、ここだと思います。星の平均点は、候補に入るかどうかの入口では、統計的に意味のある関連が出ませんでした(オッズ比0.89)。ところが、候補に入った店どうしで比べると、星の評価は1位に置かれることと関連していました(オッズ比1.17、レビューの量は1.30)。これは少し意外でした。

入口と並び順とで、効くものが違っていたわけです。候補に入るかどうかは店を確かめられる情報があるかで決まり、候補の中の並び順で評価とレビューが効く。口コミをがんばること自体はむだではありません。ただ、AIが店を認識できるだけの情報がなければ、星4.8も使われる場面がない。順番の話だと思います。

AIごとに違う答えと残り続ける古い情報

4つのAIが推薦した上位20店の顔ぶれは、組み合わせによって33〜54%しか重なりませんでした。全部のAIの上位20に共通して入ったのは8店だけ。同じ質問をくり返しても、結果は揺れます。1回聞いて出た・出ないで一喜一憂できるほど、安定したものではなさそうです。

もう1つ、実務に効く指摘がありました。まったくの作り話(存在しない店をでっちあげる)は言及の0.08%で、かなりまれです。それより、永久に閉店した店が93回推薦されていました。AIの怖さは、ゼロから嘘をつくことより、昔は正しかった情報を使い続けることのほうにあるのかもしれません。移転や営業時間の変更のとき、自社サイトだけ直して外部の媒体が古いままだと、AIはそちらを拾い続けるおそれがあります。

「見つかりません」と言われた側の実感

7月の記事「GoogleのAIモード対策とは」に書いたとおり、当社はChatGPTに「ALDONIXという高砂のWeb制作会社」について聞いて、公開されている情報が見つからないと返されました。サイトのAI対応のスコアを93点まで上げた、数日後のことです。

あのときの理由を今回の研究の言葉で言い直すと、当社には「候補に入る情報」が自社サイトにしかありませんでした。第三者の言及も、媒体への掲載も少ない。85.6%の側の、よくある例だったことになります。評価やコンテンツの質より前に、確かめられる情報の網がなかった。僕には、この研究があのときの画面の説明書のように読めました。

10月2日には、ChatGPTに「高砂市のホームページ制作会社」と聞いてみました。今度は地図にも文章の答えにも当社が出ています。同じ日、GoogleのAIによる概要の文章には出てきませんでした。7月とは聞き方が違うので、単純には比べられません。なぜ出たのかは、正直、まだ分かりません。この観察は「ChatGPT Mapsとは」に書いています。

当社が運営する「きゃくくる」は、店の情報を100以上の媒体へ配信してそろえるサービスで、この「確かめられる網」を作る側の仕事をしています。ただ、媒体をそろえればAIに推薦される、という因果は、この研究も示していません。そこで、自社を実験台にして、これから毎月の変化を記録して公開していきます。効かなかった月も、そのまま残します。

日本の店舗や企業が今日できること

CHECKS
  1. 自社サイトに基本情報を全部書く——店名・住所・営業時間・メニューや料金帯・予約方法・アクセス。画像やPDFだけに閉じず、本文の文字で読めるように
  2. 価格帯を確認できる状態にする——正確な金額を出せない業種でも、目安・最低料金・見積り条件は書ける
  3. レビューを継続的に積む——実際のお客様への公平な依頼で。特典と引き換えの高評価集めは避ける
  4. 変更時に外部も更新する——移転・時間変更のとき、GBP・地図・予約サイト・口コミ媒体まで直す先を一覧にしておく
  5. 複数のAIに複数の聞き方で確認する——1回の結果で判断せず、月1回、同じ質問群で記録する

どれも派手さはありません。でも、85.6%の大半はこの地味な情報がそもそも確かめられなかった店だと考えると、やる理由としては十分だと思います。

この研究の読み方

限界も並べておきます。査読前の研究で、対象はバリ島の飲食店、質問は英語の旅行者目線です。日本の商圏をそのまま写した数字ではありません。調査には各社のAPIが使われていて、ふだん使う画面と完全に同じ条件とは限りません。オッズ比は関連であって、因果の証明ではありません。AIは更新され続けるので、同じ調査を来年やれば数字は変わるはずです。

それでも、市場をほぼ全部数えたうえで「出てこなかった側」を測った調査は、まだ少ないです。仕組みをつかむために使って、数字は持ち込まない。そのくらいの距離で付き合うのがよさそうです。

よくある質問

Googleの口コミは星4.8なのに、AIのおすすめに出ないのはなぜですか?

この研究では、星の平均点は候補に入るかどうかとは統計的な関連が確認されず、候補に入った店同士の順位で効いていました。評価の高さの前に、AIがその店の存在・場所・価格帯・提供内容を確認できる情報がないと、比較の土俵に乗りにくいとみられます。サイトや媒体の情報を先に揃えるのが近道だと思います。

SNSだけで営業していて、Webサイトがなくても大丈夫ですか?

この研究で候補入りと最も強く関連したのは独自Webサイトの有無でした(オッズ比1.92)。因果の証明ではありませんが、AIが価格・営業時間・予約方法を確かめにいく一次情報源が無い状態は不利に働きやすいと読めます。大きなサイトでなくても、基本情報がそろった1ページから始める価値はあります。

日本の店舗や企業にもこの結果は当てはまりますか?

対象はバリ島の飲食店で、質問も英語なので、数字をそのまま日本に持ち込むことはできません。ただ「情報が確認できる店が候補に入り、評価は順位で効く」という構造は、仕組みから考えて日本でも成り立つ可能性が高いと考えています。当社も自社で検証を始めており、結果は実験ログとして公開していく予定です。

関連記事
  1. GoogleのAIモード対策とは——サイトを53点から93点にしてもAIはまだ当社を見つけられない
  2. ローカルAI検索の情報源とは——196万件の引用調査と高砂の検索で当社が見たもの
  3. GEO・LLMO対策は不要なのか——Google公式ガイドの「やらなくていいこと」を読む

出典: Vladimir Pitenin「Invisible to the Machine」(arXiv:2608.07069・2026年8月7日投稿・査読前)。数値は2026年8月28日時点でアブストラクトおよび研究公開ページと照合しています。

KYAKUKURU

自分の店がAIにどう見えているか、一緒に確認しませんか

この記事の確認は、ご自身でも今日できます。やってみて気になる結果が出たら、そこからご相談ください。サイトのAI対応状況の診断は無料です。料金は店舗数や現状によって変わるので、お見積りをお出しします。

神吉 修平

神吉 修平SHUHEI KANKI

ALDONIX代表。兵庫県高砂市を拠点に、Webディレクターとして100件以上のサイト制作を指揮。現在は高砂・加古川・姫路エリアで、MEO×AI検索の集客サービス「きゃくくる」を運営。

← コラム一覧へ