GEO・LLMO対策は不要なのか——Google公式ガイドの「やらなくていいこと」を読む
やらなくていい施策として、llms.txtの設置やAI専用の構造化データなど5つが挙がっています。
ただ、ガイドの対象はAIによる概要とAIモードで、ChatGPTなどが同じルールで動くとは限りません。
AIの回答での引用や言及を確かめることと、自社サイトの外にある情報をそろえることは、仕事として残ります。
やることの優先順位と、効果を測る場所もまとめました。
目次
7月、当社は自社サイトをAIに読みやすい形に整えて、外部診断の点数が53点から93点になりました。それでもChatGPTは当社を見つけられませんでした。サイトの整備のほかに、何が足りなかったのか。
Googleの公式ガイドを読むと、生成AI検索のために特別なことをする必要はない、とはっきり書いてあります。2026年8月には、担当者が同じ趣旨の発言をしたことも報じられました。
では、GEOもLLMOも要らないのか。読み込んでいくと、否定されているのは「Google AI検索専用の裏技」のほうで、いくつものAIに自社がどう引用され、どう説明されているかを見る仕事はむしろ残りそうです。
Googleは実際に何と言ったのか
発端はSNS(Bluesky)でのやりとりです。「Googleが集客の中心になっている業界なら、GEOはまだ気にしなくていいのか」という質問に、GoogleのJohn Mueller氏が、生成AIの検索回答のために特別なことをする必要はない、という趣旨で答えました。Search Engine Journalが2026年8月24日に報じています。
その場の思いつきの発言ではなく、Googleの公式ガイド(2026年7月10日更新)にも同じことが順を追って書かれています。Google検索でAEOやGEOと呼ばれている取り組みは、Googleから見ればやはりSEOだ、という整理までされていました。
GEOは生成AI検索向けの最適化、LLMOはAI(大規模言語モデル)に自社を正しく認識・引用してもらうための取り組み全般を指して使われることが多いです。呼び名がいくつもあるだけで、中身の作業はかなり重なっています。
GoogleのAI検索の土台は検索の索引
公式ガイドが説明している仕組みは2つです。1つはRAG(検索で根拠を取ってきて答えを作る仕組み)で、AIによる概要もAIモードも、Google検索のランキングシステムが索引から関連するページを取ってきて、それを根拠に答えを組み立てています。もう1つがクエリのファンアウトで、1つの質問を裏で複数の検索に広げます。
ページがクロールされ、インデックスされ、スニペットとして表示できる状態にあることが前提になります。この土台を飛ばして、AI向けの近道だけを通ることはできない作りです。7月の記事「GoogleのAIモード対策とは」で「1階はAIに読める状態にすること」と書いたのは、この話でした。
公式が「やらなくていい」と挙げた5つ
ガイドには、生成AI検索向けとして気にしなくていい施策が、名前つきで挙がっています。推測ではなく、公式にそう書いてある内容です。
| 施策 | Googleの記述 |
|---|---|
| llms.txtの設置 | Google検索では使っていない。益も害もない |
| AI向けの文章の細切れ化 | 抜き出しやすさのための分割は不要 |
| AI専用の文体への書き換え | 同義語や文脈は理解できる。専用の言い回しは不要 |
| 外部言及の量産 | 不自然な言及の獲得は無効。スパム対策の対象になりうる |
| AI専用の構造化データ | 生成AI検索専用のスキーマは存在しない |
llms.txtは、当社も置いています。前の記事「GoogleのAIモード対策とは」にも書いたとおり、Google検索への効果は公式が否定していますが、Google以外のAIに向けたサイトの案内としての意味は、また別の話です。数分で置けるものなので、外す理由も、優先度を上げる理由もない。そう考えて、置いたままにしています。
構造化データも同じで、AI検索のためというより、通常のSEOの一部として続ける意味があります。当社のサイトでも構造化データを整えましたが、あれはAI専用の魔法ではなく、検索全体に向けた基礎工事でした。
それでも残る仕事が3つある
1. Googleの説明はGoogleだけの話
公式ガイドが対象にしているのは、AIによる概要とAIモードです。ChatGPTやClaude、Perplexityが同じルールで動くとは限りません。実際、別の記事「ローカルAI検索の情報源とは」で取り上げた196万件の引用調査では、GoogleのAIはGoogleビジネスプロフィールを、ChatGPTはYelpをおもな情報源にしていて、AIごとに見ている場所が違いました。「GoogleではSEOが土台」と「どのAIもSEOの順位で決まる」は、別の話です。
2. 順位・流入と引用・言及は別の指標
これまでのSEOは、検索結果に表示されてクリックされることを測ってきました。AI検索では、答えの本文で名前が挙がるか、比較の候補に入るか、説明が正確か、が加わります。名前だけ紹介されてクリックされなければ、アクセス解析には何も残りません。でも、その紹介が社名での検索や来店につながっている可能性はあります。見えない露出を見に行く仕事は、順位を測る作業の延長だけでは足りないと、僕は思っています。
3. 会社の情報は自社サイトの外にもある
AIは口コミや業界の媒体、地図、SNSも使って会社を説明します。自社サイトが正しくても、外に残った古い営業時間や移転前の住所が、AIの答えに食い違いを生むことがあります。制作会社のSEO作業だけでは終わらず、店舗情報や口コミの管理まで含めた運用になります。
優先順位をつけるなら
| 優先度 | やること |
|---|---|
| 高 | クロール・インデックスの確認とサイトの基礎整備 |
| 高 | 自分にしか書けない情報(実例・数字・検証)の公開 |
| 高 | 店舗・会社情報の正確性を全媒体で揃える |
| 高 | AI回答とSearch Consoleの定点観測 |
| 中 | 構造化データ、正当な第三者媒体への掲載 |
| 低 | llms.txt(置くだけ置いて、期待しない) |
| やらない | 自作自演の言及、AI向け量産ページ |
上の4つは、AI検索が出てくる前からのSEO・MEOの芯とほとんど同じです。結局そこか、と思うかもしれませんが、公式の記述を素直に積み上げるとそうなります。裏技が否定されたぶん、基礎の比重が上がったと読むほうが近いのかもしれません。
効果はどこで測るか
GoogleのAIでの露出については、Search Consoleに生成AI関連のパフォーマンスレポートが入りました(2026年6月発表)。自分のプロパティで使えるようになっているかは、管理画面で確かめるのが早いです。
GA4には「AI Assistant」というチャネルが加わっていて、ChatGPTやGemini、Copilotなどからの流入が自動で分けられます。ここで1つ気をつけたいことがあります。公式ヘルプによると、AIによる概要とAIモードからの訪問は、AI AssistantではなくOrganic Searchに入ります。GoogleのAI経由の数字を見たつもりでAI Assistantだけを見ていると、読み違えます。
そして、クリックされなかった露出は、どちらにも出てきません。だから、大事な質問を10〜20件決めて、いくつかのAIに定期的に聞き、名前が出るか・引用元はどこか・説明は正確かを記録していきます。地味な手作業ですが、いまのところ、これに代わる測り方はない気がします。
当社の現在地
当社は7月に自社サイトの「読める状態」を整えて、外部診断の点数は53点から93点になりました。それでもChatGPTは当社を見つけられませんでした。このときのことは別の記事「GoogleのAIモード対策とは」に書いています。
今回の公式ガイドの整理は、こうした経験と重なります。サイト側の整備は前提で、差が出るのはその外側、第三者の場所で裏が取れるか、AIごとの情報源に載っているかです。だから当社はいま、自社のGoogleビジネスプロフィールを整えて、自社サービス「きゃくくる」で100以上の媒体へ情報を配信し、AIの答えがどう変わるかを毎月記録する実験を準備しています。うまくいかなかった月も、そのまま記録に残していきます。
よくある質問
GEOやLLMOという言葉のついたサービスは頼まなくていいですか?
名前ではなく中身で判断するのがよいと思います。llms.txtの設置やAI専用の書き換えを主軸にしたものは、少なくともGoogle検索向けとしては公式が効果を否定しています。一方、情報の正確性の管理、第三者媒体の整備、AI回答の定点観測といった中身なら、呼び名が何であれ実務としては意味があります。
llms.txtは外したほうがいいですか?
外す必要はないと考えています。Googleは「使っていない」と明記しているので益も害もありませんが、Google以外のAIに向けたサイトの案内としての意味は残ります。当社も置いたままにしています。数分で済む作業なので、優先度を上げすぎないくらいでちょうどいいと思います。
SEOの会社に頼んでいれば、AI検索対策も足りていますか?
Google内についてはかなり重なります。ただ、ChatGPTなどGoogle以外のAIでどう説明されているか、外部媒体の情報が古くないか、クリックされない露出がどれだけあるか、は従来のSEOレポートに出てこないことが多いので、そこまで見てもらえているかを確認する価値はあります。
出典: Google Search Central「Optimizing your website for generative AI features on Google Search」(2026年7月10日更新)/Search Engine Journal(2026年8月24日)/Google アナリティクス ヘルプ(チャネルの定義)。記述は2026年8月28日時点で一次資料と照合しています。
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